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Vol.88 男らしさ、女らしさ、自分らしさ

 大ベストセラー『バカの壁』を書いた解剖学者で、東京大学名誉教授の養老
 孟司さんが面白いことを言っていました。

 「私は永く生きているけど、"強い男"と"優しい女"を見たことがない」

 その時は、<養老さんらしい、言い回しだな>と聞き流していたのですが、
 何日か経って、その言わんとすることの意味が、私の中でじわじわ広がって
 きたんです。

 たぶん一般的には逆だと思うんです。
 男は"強い"もので、女性は"優しい"もの。
 しかし、養老さんが言ったことは皮肉でもなんでもなく、人間という「生物」
 の真理を突いた言葉だったのに気が付いたんです。

 本来、男は弱い生物です。特に幼少の頃はそれが顕著で、病気をしたり、親
 の手を煩わせたりすることが多いのは、一部の例外を除き、大抵、男の子な
 んです。
 神経質で、人見知りというか、社交性があまりないため、"男らしく"と常に
 言い聞かせて育てないと、どんどん"殻"に閉じこもってしまいます。
 一方、女性は生物学的にも"強い"うえに、「感性」が鋭いから、放っておく
 と、どんどん成長していってしまう。
 だから"女らしく"と自分を抑えるように育てなければいけないんです。

 そういう意味で、女性は「躾(しつけ)」が大切であり、男には「鍛錬」
 「修行」が必要なんですね。

 実は、このコラムも、そういうことを意識して書いています。
 「男」「女性」と書き分けているのに気が付いてましたか?
 これは、単に私が男だから、そうしているわけではありません。
 女「性」と、「性」の字が付くのは、やはり女性だけで、「男性」と呼ぶに
 は、男は子供過ぎると思うからです。

 よく「男は何歳になっても"子ども"」で、女性は「生まれた瞬間から"女"」
 だと言われますが、男は常に自分の中に"存在"を見い出し、女性は絶えず、
 外を意識して生きています。
 その違いは、子どもの頃から大人になっても、全然、距離が縮まりません。
 むしろ、一層広がったような気さえ、します。

 ところで、一時期、「自分探し」という言葉が流行りました。
 その言葉自体はかなり昔からありましたが、サッカーの元日本代表・中田英
 寿が衝撃の引退宣言をした時、自己のブログでこの言葉を使ってから、流行
 語のようになりました。

 でも、よく考えてみると変な言葉です。
 自分の何を探すのでしょうか。

 やりたいこと?
 向いていること?
 求められていること?

 答えはいつでも、自分の中にしかないんです。
 結局、自分に適した環境をつくるのは自分しかいませんし、誰かに与えられ
 るものではありません。
 ましてや、旅をしていて見つかるようなものではないと思います。

 もっとも、中田ヒデは、あれでいいんです。
 あれだけのことを成し遂げた人ですから、単なる旅でも、その先には何かが
 生まれることでしょう。

 でも、まだ何も始めていないような若者が「自分探し」という言葉の美しさ
 に酔ってダラダラと無駄な時間を過ごすくらいなら、何でもいいですから、
 チャレンジして欲しいなと思います。

 失敗してもいくらでもやり直しが聞く。
 それが、「若い」ということです。

 是非、いろいろなことにチャレンジしてください!
 "男らしさ"や"女らしさ"を超越した"自分らしさ"を見つけるために・・・。

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