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Vol.80 いつも恋の絶えない女友達が言うには……。


 福祉学生のみなさん。恋愛、してますか?
 「出会いがなくってぇ」なんてぼやいている人のために、今日は、モテ女に
 なるための究極の心構えを伝授しよう。実践すれば、男性にだって通用する
 はずだ。
 ただし言うまでもなくそれは私の実体験ではなく、「伝聞」であることは、
 ご容赦願いたい。
 性格よし、見た目よし、そしてよく働く好男子と一緒に暮らしている女友達
 がいる。A子としておこう。
 彼氏のいないB子と共に、A子の家で鍋をした。
 「長田さんって、取材の仕事だから人との出会いが多いじゃない?」
 こう切り出したA子は、「なのになぜ……」とのニュアンスを込めながら、
 私に言った。
 「いや、仕事で会う人はねえ。また別だから」と私。
 「仕事モードになってるからだよね。それ、分かる」と同意してくれたのは、
 B子。私と同じく、彼氏のいない身でこの冬を乗り切りそうな情勢である。
 A子は、それは違うんじゃないのと語調を強めて、こう言った。
 「この人は仕事で知り合った人だから、と自分で枠をはめているだけじゃな
 い?」
 「そりゃそうだよ、じゃあA子には、そういう枠はないの?」
 「うんないよ」
 彼女は堂々と言った。
 「私は惚れっぽいから、傍にいたら誰でも惚れちゃうんだよね。相手が好き
 になってくれたらいつのまにか私も好きになってる。私が好きになったら、
 なんとかお互いの家に行き来するくらいの関係までは持っていくようにする
 し」
 今度はB子と私が、目をむいた。
 「傍にいたら誰でもって言ったって、自分より背が低いといや、とか、お金
 のない人はいや、とか、好みのタイプじゃない、とか、どこかで選んではい
 るんでしょ?」
 A子はいう。
 「いや、ほとんどないね。こういうのがいや、っていうのは、ない」
 もちろんA子が言うには、話が合わない人は別である。
 でも話をしていて楽しければ、この人のことをもっと知りたいと思う。
 もっと知れば、さらに知りたいと思う。
 そうしてどんどん知りたくなっていくうちに、いつのまにか、家の行き来を
 する関係になっている。
 「当然ね、その上で『ケっ何この男』と思ってお別れしたことも、何度もあ
 るよ。私の方が去られて痛い思いをしたこともある。でも家の行き来までい
 くと、たいがい、お互い愛着が湧く。だからうまくいくことの方が多かった
 なあ」
 遠い目をして昔を懐かしむA子に言わせるなら、いまの素晴らしい彼氏だっ
 て、知り合った時は、ここには書けない非合法の仕事をする人間だった。
 ところが旅先でA子に出会い、旅を終えた後も彼はA子を追いかけてきた。
 一緒に旅行したり、家の行き来をするうちに、A子が何を説くまでもなく、
 彼は自らまっとうな仕事を探し、生活を改めた。そして今は、その道で十分
 に成功を遂げている。
 A子の魅力がそうさせたんでしょ、と言うと、彼女は言った。
 「いや違う。それより、私は、間口が広い女なんだ。彼もその間口に入って
 きた1人だっただけ」
 そのことの是非はともかく、私とB子は、「そうだ、私たちは間口が狭いん
 だ」と強く同意した。
 「だって自分より頭がよくないと、とか、自立している人がいい、とか、い
 ろいろ相手に求める条件があるもん」B子はいう。
 その通り。
 「誰でも好きになれると豪語するA子のまねはできない。でも、たしかに条
 件で人間を区切ってそれ以上の興味を持とうとしないんじゃ、間口を自分で
 狭めているわけだわ」
 B子は、自省気味になってきた。
 「それって、ウサギの交尾と人間の交尾の違いかも」
 私は、思いついてこんな理論を持ち出してみた。
 「ウサギって、交尾したらその刺激でメスが排卵する。だから妊娠の精度が
 極めて高いの。そして子供を4羽も6羽も一度に産む。子供を恋と勘定してね。
 人間の場合は、排卵期を狙って交尾しないと妊娠しない。それも出産一度に
 1人。A子のウサギ方式だと、出会った人を好きになるから、子(恋)の数
 は増えるし、いい子ができる確率も増える。でも私たち人間方式だと、条件
 をそろえて狙って、成功しても子は1人。それだって、外れることが多い」
 「うーん、その例えはどうかと思うけど」
 B子はこう遮って、でも、と付け加えた。
 「そういえば、A子って、仕事もうまく回っているよね」
 A子は私と同じフリーランスなのだが、いつも「1ヶ月、海外へ出張いって
 きます」といった、おいしい仕事に恵まれている。
 「うん。私は仕事でも、間口が広いから」とA子。
 さすが……。恋多き女は、仕事に対しても、間口が広かったのか。そう考え
 ると、「間口が広い」とは、すなわち、人間への好奇心の大きさだといえる。
 間口を広くして、とにかく惚れるという極みには、一朝一夕で達せそうには
 ない。それに、基準はない、というA子だって、「ケっと思った男」とはき
 っぱり別れるのだから、それによって「だめんず」を排除しているのだろう。
 鍋をつつきながら、私とB子は「外せる敷居は外そうね」「そしたらウサギ
 方式に近づけるかな」と強く語り合ったのであった。
 みなさんもどうぞご参考に。


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