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Vol.71 平成男子ショクン!


 読者のみなさん必読の本を見つけた。

 「平成男子図鑑リスペクト男子としらふ男子」(深澤真紀著、日経BP社)は、
 みなさん世代より多分ちょっと上、20代から35歳までの青年たちの特徴を、
 分類している。
 これ、「まさに今の若い男の子、こう、こう!」と膝を打ちっぱなし、絶妙な
 描き方なのだ。
 「世代で個人をくくるなよ」と反発を覚えるあなたこそ、見てみてほしい。

 リスペクト男子、って意味分かります?
 自分の友達のことを「アイツは世界一のDJ」「アイツの選ぶ古着のセンスはス
 ゲエ」、特技がない人には「アイツほどいいヤツはいない」。
 お母さんには「オカン、生んでくれてありがとう」、お父さんには「オヤジみ
 たいになりたい」。「俺らの仲間は最高」で、「みんな、いてくれてありがと
 う!」
 周囲に対して常にリスペクトを欠かさないのが、いまの男子に行き渡る、象徴
 的な特徴なのだとか。

 では、しらふ男子、は?
 酒を飲まない。そう。でもそれだけじゃない。
 煙草も風俗もブラックコーヒーも、つまり、刺激や嗜好品には、関心なし。
 水洗トイレで育っているから清潔で、臭いに敏感(煙草も、コーヒーも、酒臭
 いのもダメダメ)、疲れるから風俗より家ビデオでオッケー。
 要するに集団主義のオジサンたちが好むものは、拒否。一人で、あるいは親し
 い仲間と、静かに清潔に快適に過ごしたい。これが、しらふ男子像である。

 以下、並べてみると、
 お買い物男子(「お買い物にいく」と女みたいに話す)、mixi男子(ミクシーの
 中に生きる)、オカン男子(お母さん大好き!)、草食男子(据え膳なんか食わな
 い)、次の3つは見て文字の通り、ロハス男子、スピリチュアル男子、教育パ
 パ男子。そしてテキトー男子(所ジョージみたいな脱力風な大人を尊敬)
 オジサン、びっくりだろう。
 なぜ、若い男の子たちが、バブル世代以上(40歳以上のオヤジ世代といってい
 い)のオヤジ世界の男たちと、こうも変わってしまったのか。

 深澤さんは、このように分析している。
 豊かな時代に生まれ育ったものの、就職や受験期といった人生選択の時期にバ
 ブルはすでに崩壊しており、経済的にも都会に出るのが難しい。
 都会でばりばり働くより地元で自分の周囲を見つめて、ハッピーに暮らす志向
 を、余儀なくされているのが、これら平成男子登場の背景であると。
 物足りない。そう思う上の世代は、私ばかりじゃないだろう。でも、悪いとこ
 ろばかりではない、というのが深澤さんの見方である。
 おやじ世代の特徴である「なんでも批判する、けなす、イバルのがえらい」と
 考えるクセは、彼らにはない。だって、自分の周囲をリスペクトして、愛して、
 なにが悪いのかと問われれば、その通り。
 リスペクト男子の、友達を全面肯定する姿勢は、「人を踏み台にしてでも成功
 する」という上昇志向より、ましかもしれません、と深澤さんは言う。

 それはそうだ。
 私が強く思ったのは、ライトな精神主義の流行が、人のあり方にこれほど影響し
 ているのかということ。
 スピリチュアルブームの主導者の人たちが言う、また最近では「紀香魂」で紀香
 がこれみよがしに披露するような、「自分の状況を受け入れて、ポジティブに解
 釈し、笑顔を絶やさず、前向きな言葉を口にしていれば状況はおのずと好転して
 きます」といった類のメッセージが、そのままこの世代の特徴として、表現され
 ているのではないか。
 いい悪いで判断するのではなく、「異文化」として理解して、つきあうべし、と
 いうのが本書の主張だ。

 だから読者のみなさんに、なぜ進めたいかというと、自分たちが呼吸するかのよ
 うに、当たり前に振る舞っているその動作を、「異文化」と受け取っているのが、
 いまの社会なのだと、知ってほしいから。
 できれば、年長オンナ世代としては、「お友達とお買い物に行ったよ」と喋るの
 はいいけど、「据え膳、なにそれ」の草食男子が増えるのは、食い止めたい。
 そのためにも、異文化を理解する姿勢がまず、必要なのだろうか。
 男女の深い溝の次に、断崖絶壁がそびえていることを知らされて、私の世代が平成
 男子と親密になるのは、オヤジが平成部下と飲みに行くよりもっと難しいだろうと
 思うばかりだ。残念。

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