福祉の仕事 | 294job.com





  
Vol.66 「大人」と「子ども」の陥穽



 18歳は、子供なのか大人なのか。

 知人が、ある女の子から相談を受けたという。
 その子は両親に暴力その他の虐待を受けている。
 知人と彼女とは、あるサイトを通じて知り合った。
 彼氏のことや友達との出来事など、明るい高校生活を報告してくれていた彼
 女が、「実は」といって、親から虐待、それも身の毛もよだつ虐待を受けて
 いると話したのは、つい先日のことだった。

 一刻も早く、家から隔離しなければ−−。
 と判断した知人は、まず児童相談所に、電話で事情を話した。
 彼女から聞く、虐待の実態についてつぶさに話した。
 しかし、年齢に話が及ぶと、とたんに話を遮られた。
 「おいくつですか」
 「18歳です」
 「残念ですが、児童相談所でお受けできるのは、17歳までのお子さんなんで
 すよ」
 ええー?
 「ついこのあいだ18歳になった所なんですよ、17歳じゃ受けてもらえて、18
 歳になったらダメなんですか?」
 「そうなんです。そのお話なら、警察に相談していただけますか」

 まったく役所だなあ、と憤慨しながら警察に電話した。
 しかし警察も、「親子の問題でもめている、それだけのことだったから」と
 言って、取り合ってくれない。
 彼女が自分の足で警察まで歩いていって、「保護して欲しい」と訴えた。が、
 結局、家に送り戻されてしまった。
 その夜、殴られた後の彼女から連絡がきた。
 「警察は、18歳になったら保護してくれないんだって」

 じゃあ、病院はどうなのか。通っている精神科に(うつ症状が出るのは当然
 だろう)入院を求めたら「未成年だから親の同意書がいる」と突き返された、
 といって知人がまたまた憤慨していた
 「成年18歳に引き下げ」という記事が、4月4日東京新聞の1面トップに載って
 いた。「民法の改正に政府が着手、選挙権も付与」する方針なのだとか。

 民法では4条に、「年齢20歳をもって、成年とする」と記されている。いま
 参議院で審議中(衆院は可決)の国民投票法では、投票年齢が18歳以上とさ
 れていて、それとの整合性をとるために改正する、という。
 児童相談所での一件で、「児童」の範囲は17歳まで、18歳になって高校を卒
 業するともう対象外なのだと知った。
 すでに、一部行政の世界では、18歳は「児童」でも「少年」でもない。親に
 虐待されても、18歳になった途端に、警察にも児童相談所にもかくまっても
 らえない。

 医療はといえば、「20歳前なら入院には親の同意が必要」の一点張り。

 この中途半端な現実の狭間に、ゆれている18歳は、彼女だけではないはずだ。



コラム目次へ